iPod訴訟で考えさせられたRadical Trustのゆくえ
iPodに特許侵害があるとしてApple社が訴えられている。それも4月にはburst.com社から音楽ファイルのダウンロード技術、5月にはCreative Techonology社から楽曲の整理インターフェース(いわゆるZen特許)と立て続けである。しかもこれだけではない。iPodの著作権管理技術は俺が考案した、果てはipodで難聴になった、と骨の髄までしゃぶられている。ふと頭の中に、遺産相続の話し合いに一度も見たことのない親戚が乗り込んできた映像が浮かんだ。お約束といえばそれまでだが、儲かっているところに食らいつく連中は今も昔も変わらずにいるということだ。
O'Reilly社のTim O'Reilly氏は、Web2.0の一つの要素としてRadical Trustを挙げている。これは、参加者がお互いを徹底的に信頼すれば、みんなでアイディアを出し合いながら、もっといいものを作り上げることができるという考え方である。iPodで使われているアイディアを誰が考えたにせよ、少なくともiTunesの優れた選曲インターフェース、1曲単位のバラ売りビジネスモデル、iPod nanoの秀逸なデザイン、これらを組み合わせて商品化したのは間違いなくApple社である。Radical Trustな世界なら、アイディアを出したみんなが手を取り合って喜んでいてもおかしくないところだ。売れすぎたのが行けなかったのならば、Radical Trustな世界では「儲けすぎてはいけない」というルールを作るしかない。
Radical Trustな世界に共感する一方で、凡人はGreedyでRadical Untrustな実社会に属するからこそメシが食えるという現実もある。実に悩ましいところである。残念ながら、Radical Trustな株式市場、Radical Trustな商取引は想像できないし、はっきりとWeb2.0では儲からないという人もいる。Radical Trustのゆくえが心配である。
ところで日本企業が中華系企業並みにしたたかなら、こんなことも起こったかもしれない。
「Panasonic Let's Noteは、くるくるタッチパッドを何年も前から製品化しており、iPodは明らかにアイディアを盗用している。よってApple社に損害賠償とiPodの販売差し止めを要求する(以下省略)」......
0 Comments:
Post a Comment
<< Home